《2》子どもを観る足浴

*この特集の第1回はこちら。

《足を丁寧に拭く》

先生の合図で、子どもは先生の膝の上のタオルに足をおろし、指の間まで一本一本、丁寧に拭いてもいます。
子どもたちはこの時間が大好きです。大好きな先生が自分だけに向き合ってくれること、そして、丁寧に触れてくれることが心から嬉しいのです。その顔は満足感で満たされています。
「先生が足を拭いてくれるんだよ〜」と家でもウットリした顔で教えてくれるほどです。

《重さを感じる》

『足を拭く時間』は、先生にとってもとても大切な時間です。なぜなら、その子を一対一で観ることができるからです。
足を拭きながらその子の『重さ』を感じることができます。身体の『柔らかさ』や『肌の質感』を感じます。足の指や土踏まずなど、普段、目の届かない細部まで観察できます。
すると、新たな気づきを得ることができるのです。

例えば「この子は外見はがっちりしてるけど、筋肉は意外とふわっと柔らかいな…」「小柄で控えめな印象だったけど、足はずっしりして、筋肉も発達してるな…」「元気で活発に動く子だけど、指は意外と細くて繊細だな…」といった具合です。
大人は、普段、全身の印象でその子を判断しがちです。でも、身体の細部まで観察し、実際に触れてみると、その子の違う面に気づくことがあります。そこにこそ、その子の本質の姿が現れていることがあるのです。

《先入観なく観る》

最近、お子さんの足を見たのはいつか思い出せるでしょうか?
足はどんな形?どの指が長い?土踏まずは発達している?爪は整っている?ふくらはぎは硬い?柔らかい?
…意外と思い出せないものですよね。子育ては大忙しですので、無理もありません。

その子の『身体の形』に注目する方法は、大人の先入観や偏見なくその子を見る訓練にもなります。
その子を評価したり、比較することなく、ただただ、身体の『形』に注目するのです。すると、その子の印象がガラっと変わることもあるのです。

《触れると大切になる》

足を拭いていると、指の間が汚れてる子や、温まりづらい子や、ちょっとした傷や爪の長さに気づくこともあります。細部を観察することで、「あ、もう少しそこに意識してみようかな」とその子に必要なアプローチに気づくこともできます。
そして何より、小さな足に触れていると「この子を大切にしなきゃな」という気持ちも自然と湧いてくるのです。

 

《3》言葉の代わりの足浴に続きます。